心地よい庭とくらす ⑫中低木 (下)
<実の色彩を楽しんで>
秋が深まると、大小さまざまな木の実が次第に色づいて、私達の目を楽しませてくれます。
山の中でつやつやした葉が日の光を浴びて輝いて見えることから「山照らし」の別名があるハクサンボク。白い花のあとに小さな赤い実をいっぱい付けます。花がガマズミに似ているのでよく間違えられますが、ハクサンボクは常緑樹で落葉樹のガマズミとは葉の感じが随分違います。背丈ぐらいのほどほどの目隠しとして重宝する木です。
ガマズミも赤い実がきれいなのですが、少し成長が早く枝が暴れてしまうのが難点。葉が一回り小さいコバノガマズミの方が、剪定(せんてい)も楽で木立によく合います。
ヤマニシキギとも呼ばれるコマユミは、秋には実がはじけてオレンジ色の鮮やかな種が顔を出します。毎年のように紅葉が楽しめるので、庭に植えたい木のひとつです。
ムラサキシキブの小さな緑の実が、寒さと共にだんだん紫に変わっていく様子からは、自然の色の豊かさを感じます。
黒い実を付けるヤマコウバシも、最近よく使われるようになりました。
落葉樹なのに春先まで茶色い葉を付けているので、冬の景色として面白い存在です。葉が「落ちない」ので受験のお守りにもなっているとか。H邸では大きなイヌシデとカマツカに押されながら20年、玄関先でいい味を出してくれています。
この外にもたくさんの樹種がある中低木ですが、花芽を落してしまって翌年の楽しみが半減しないよう、時期を選んで剪定して下さい。
久富作庭事務所 久富正哉 (宮崎県)
前のページへ:心地よい庭とくらす ⑪中低木 (上) | 次のページへ:心地よい庭とくらす ⑬園路 |