心地よい庭とくらす ⑬園路
<作り手の感性が反映>
庭造りの中心になるのは樹木の緑ですが、その緑も見る方向や角度によって表情が変わります。
いろんな場所から庭を楽しむには、散策する道、「園路」が必要。木立感を楽しむ庭では、どこをどう歩くようにするかが重要なポイントです。
大きさの異なる自然石を組み合わせる時には、3個の石が合う場所の目地は「人」の字になるように、4個の場合は「十文字」にならないようになど、いくつかの原則があります。
コヤスケや石ノミなどの工具で石を割りながら合わせていきますが、同じ材料を使っても、作る人の感性で出来上がりはそれぞれ。「人格以上のものはできない」と言った名匠もいます。
施工はなかなか大変ですが、職人気質の物にはテンションの上がる仕事。自然を写した庭には、こんな雰囲気の園路が似合う気がします。
「雑木の庭」に限らず、どんな庭でも花を植え替えたり、水やりをしたりと、歩く頻度の高い場所が必ず出てきます。主要な動線を土のままにのせず、一工夫すると庭にメリハリが付きます。ホームセンターなどに、レンガや加工した四角形の石、飛び石など豊富な材料があるので試してみてください。雨上がりに、「履物が汚れてしまう」ことも解決できるかもしれません。
庭の雰囲気に合えば、砂利でも構わないと思います。最近は砂利の種類も増えたので、色や形を選んで敷けば手軽で便利です。私は時折、御影石が砕けてできた山砂を敷くこともあります。
久富作庭事務所 久富正哉 (宮崎県)
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