2013/03/30根に返る心
10年以上も前に
商品を購入してくれたが代金が未納のまま
連絡がとれなくなった人がいた。
元々は造園業ではなかったようだが
後に造園の仕事もするようになり
時々材料を買いにきてくれていた。
当時は
ご飯も食べられないほどのことがあったのだろうと
わずかな同情心を抱きながらも
社員が一生懸命作った製品の
「価値の対価」がもらえないことの悲しみに
溜息をつきつつ
たくさんの時間が過ぎていった。
つい最近
あちらこちらから近況情報が風にのって届いた。
現在は植木の販売で大成功し、新しい事務所まで建設した
ということだ。
それでは！
ということで
様子伺いを兼ねながら新事務所を探し当て
代金回収のお願いに伺った。
結果どうなるか想像はついていた。
10年前の売掛金には時効が成立しているのだから。
それでも直接お会いし聞いてみたいことが ただ1点 あった。
「理由」
である。
かつて
「払えなかった理由」
そして今も
「払わない理由」
でもしかし
それがたとえ正義の理由であったとしても
「植木で繁栄している」 と聞いては
黙っておれないことがある。
それは
私達のお客様である木を扱う「造園屋さん」は
「根」が健全な人ばかりである。
彼らは
木を大きく成長させるために
幹や枝や葉に良い養分を送り込む「根」を
深く長くしっかり張る努力を怠らず
常に「根に返る心」を
持っている人々なのである。
２度伺ったが
「理由」を聴くことができないまま
悲しい気持ちで諦めかけていたその時
思いもよらず
全額振込入金があった。
新事務所の敷地内にあった出荷を待つ立派な木々の「根」は
良い養分を吸収していたのだ。
そしてその人は今
「根に返る心」を持つ
造園屋さんになっていた。
今後の益々の繁栄を心より祈りたい。
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